化物語

 

スペシャル

新房昭之監督インタビュー 其ノ弐

新房昭之監督(以下、新房):
「化物語」 監督。

久保田光俊(以下、久保田):
「化物語」 プロデューサー。シャフト代表取締役

岩上敦宏(以下、岩上):
「化物語」 プロデューサー。アニプレックス所属


◆13話までを終えて

―― 本日は、「化物語」のこれまでとこれからについて伺いたいと思います。では、早速ですが、13話まで作られてみて、どのように手ごたえを感じられていますか?

新房
印象に残っているのは、13話で忍がドーナツ屋の前にいるシーンです。あのシーンは日本ではあり得ないような光景でしたが、「化物語」全体を通して、あれぐらい飛躍した表現を目指そうと思っていました。あのシーンも、具体的な指示は出していませんが、これまでの積み重ねや流れの中で生まれたものですね。13話までの中でも、ああいった方向性の表現は随所に入れられたかなと思っています。

―― メインスタッフである、渡辺さん・尾石さん・武内さん・飯島さんといった皆様に関してはいかがですか?

新房
4人とも凄いと思います。それに尽きます。私が狙っているものを的確に描いてもらえるという部分で、思った通りというか思った以上のものを出してもらっています。それがフィルムにもきちんと出ていますし、本当にありがたいです。
だから、ちょっとやり過ぎな部分があっても監督としては止められないんですよ。頑張りが頑張りを生む、正のスパイラルが「化物語」という作品にはあると感じています。

―― では続いて、メインキャストの中から、暦役の神谷浩史さん・ひたぎ役の斎藤千和さんについてお話を聞かせて下さい。

新房
神谷さんと斎藤さんは、役者としてのコンビネーションが実に素晴らしいので、この二人の力は大きかったです。
神谷さんは、彼の持つ原作愛に助けられた部分が多いです。例えば、セリフを削った部分では原作からその部分を自分の中に拾い上げて演技に込めて補ってくれました。
斎藤さんは、イメージしていた通りに、ひたぎというキャラクターを魅力的に演じて下さったと思います。キャスティング段階から予期していた事ではありますが、こちらの期待に完璧に応えて下さって感謝しています。

―― では、改めて13話までの全体を振り返られての総括をお願いいたします。

新房
全体的に見て、点と点がうまく合った感じがします。それは、スタッフ一人一人やキャスト一人一人の点と点がという事もそうですが、中でも個人的には、アニプレックスのプロデューサーである岩上さんからもらった「エピソード毎にキャラ別で」というアイデアが大きかったです。それがあったから、「ひたぎクラブ」はシリアス、「まよいマイマイ」はギャグ顔に、といった発想が出てきたんです。同じ「化物語」というタイトルだけれども違う作品という発想に辿り着けました。
岩上
そう言っていただけるのは嬉しいです。ですがやっぱり、プロデューサーとしては、それを具現化された現場の皆さんの頑張りに頭が下がります。
新房
あと、これは別の話になりますが、ひとつ印象的だったのは、以前、神谷さんと斉藤さんが出演されていた、とある作品の最終回で、尾石さんが屋根の上でキスをさせたいと言ったんですが、その時はNGを出されたんですね。それから年月を経て、尾石さんとコンビを組んで、同じ役者さんで、同じシチュエーションで、キスして終わるっていうテレビシリーズの12話を作れたのは感慨深いですね。
◆14話について

―― ではそろそろ、多くの方々が気にされている質問を。現時点(取材を行った2010年2月11日現在)、14話はどんな制作状況でしょうか?

久保田
アフレコとダビング(音響作業)は既に終了しています。また、作画もほぼ100%終了しており、現在は毎日、ビジュアル的な詰めを行っている処です。

―― ビジュアル的な詰めというのは、具体的にはどんな作業なのでしょうか?

久保田
最終的な画面の空気感を作る為の調整ですね。キャラクターと背景をどういったバランスで合わせるかや、光の入り方をどうするかなどの、仕上げ・撮影と言われる作業です。
お待たせしてしまっている事は申し訳なく思っておるのですが、多くの方に期待いただいている事も強く感じておりますので、良いものをご覧いただける様に、みんなで精一杯頑張っています。

―― 新房監督としても、14話は良いものになりそうでしょうか?

新房
そうですね。あまりハードルを上げるのも何ですが、ご期待いただいて大丈夫だと思います。14話に関しては、メインスタッフの頑張りは勿論ですが、板村智幸くん(2話演出・11話絵コンテ/演出・12話絵コンテ担当)の頑張りも大きいです。14話は、彼が絵コンテ/演出をやってくれています。

―― では、14話は、具体的にはいつ頃完成になりそうでしょうか?

岩上
14話は来週中には完成の予定です。1月中にはと言っていた中、お待たせしてすみません。13話と同様、公式HPで無料配信しますので、今暫しだけお待ちいただければ幸いです。

―― スケジュールが延びてしまったのは、やはり、詰めの作業を頑張られている部分が大きいのでしょうか?

久保田
多くの方に支持いただいている事は我々も強く感じているので、正直、凄い気負ってます。プレッシャーは半端じゃないです。ですが、これほど期待いただく環境はなかなか無いので、あと1週間、皆さんのご期待に応えられるものを目指します。
新房
現在、色々な作品を制作させていただいていますが、各作品で、それぞれに適した人材が別々のラインで作業しています。その中で「化物語」の場合は、作品の性質的に、適した人材が限られてくるんです。その少数精鋭なメンバーが、13話の制作をし、それが終わったらなでこスネイクやつばさキャット(上)のパッケージ用映像作業を行いという風に、日々、一つ一つ終わらせています。そしてつばさキャット(上)の作業を終わらせた先に現在14話を制作しているというのもあり、そのあたりもスケジュールがズレてしまう一因ではあります。ただ、その中で、皆さんに楽しんでいただけるものにすべく、精一杯煮詰めています。

―― では最後に、これまでご覧頂いた多くの皆様と、14話を楽しみにして下さっている方々に、一言頂戴出来ますでしょうか。

新房
応援して下さっている皆様へは、やはり、感謝の気持ちが強いです。スケジュール的にキツい時期も少なくなかった中で、応援して下さる方々の声は心強かったです。ありがとうございました。是非これからもよろしくお願いいたします。
そして、14話を楽しみにして下さっている皆様へは、お待たせしてすみませんという気持ちと、見捨てないでいただけたら嬉しいですという気持ちが強いです。良いものをお見せ出来る様に頑張ります。
あと、宣伝の高橋ゆま君の発言が色々お騒がせしているみたいですが、彼が悪いわけではないので、彼の事も見捨てないであげて(笑)。
高橋
それは、個人的にも是非お願いしたい…。

本日はありがとうございました!


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